大阪地裁による文書提出命令が出ました

裁判

 社会医療法人愛仁会パワハラ裁判は提訴から3年、事件から5年が経過しました。
 1年近くに及ぶ、無視、会話の拒絶、業務の一方的変更、残業代の不払いなど、当初、パワハラの事実を「すべて認める」としていた被告・愛仁会が態度をひるがえして否認、裁判では証拠となる文書の提出をほとんど拒否してきたことに対して、8月1日、証拠となる文書の一定部分について文書提出命令が出ました。まもなく原告が閲覧することになります。これまでに次のことが判明しています。

  • 最初のパワハラ認定(2019.3.26)後、原告には加害者を「けん責とした」と通知していたが、実際にはけん責処分は行われていなかった。
  • 二度目のパワハラ認定(2019.8.19)の結果を受けて、原告に「労災が認定されなくても直近3ヶ月ぶんの給料の平均を支払う」などと説明した事実はないと否認して、原告に裁判を迫ったが、録音により事実は証明された。

●文書提出命令が出たことの意義

 労働者が命を扱う業務に追われながら、相手に悟られずに無視などの決定的瞬間を動画撮影・録音するのは現実的ではありません。しかし裁判では、証拠を示す責任はすべて被害者に負わされ、その証拠が当たりまえに求められるのが現状です。加害者側に立つ企業は、徹底的に調べ証拠を獲得する権力を独占しながら、調査報告、判定会議、処分通知などの文書を提出する義務はありません。原告はこうした不平等を訴え、被告・愛仁会が拒否する文書の提出を命令するよう裁判所に訴えてきました。
 今回、裁判所が文書を閲覧したうえで判断するインカメラという異例の取り扱いで、愛仁会が拒否してきた文書の一定部分の提出命令を出したことは、これまでの裁判ではほとんどなかったことです。原告の訴えが裁判所を動かし、今後のハラスメントをめぐる裁判でも一歩前進を勝ちとったと考えています。

●次回裁判に向けて

 今後、愛仁会が「迅速に真摯に対応する」などの内部規則を犯し、さらなる被害に遭わせたこと、自らの裁量権と労働者の証拠獲得困難を背景に、被害者に裁判をけしかけ、大きな苦痛を与え続けたことをさらに明らかにしていきます。仲間の皆さんからの、これまでに増して力強い支援を心よりお願い申し上げます。

● 次回裁判 10月4日 13時30分~ 大阪地裁708法廷